カードローンの返済を数か月延滞していたら通知が届いた、という場合それは『代位弁済通知』の可能性があります。通常の督促状とは異なる『代位弁済通知』とはどういうものなのか?代位弁済が実行されたあとの対処はどうすればいいのか?通知が届いても対処方法を知っていれば、より深刻な問題に発展することはありません。心配な人はチェックしてみてくださいね。
代位弁済って?

代位弁済は保証会社による立替払い
代位弁済の発生は「3ヶ月以上」の滞納後
銀行カードローンの保証会社は消費者金融
保証会社の消費者金融は債権回収会社に債権を売ることがある
代位弁済されても借金はなくならない
代位弁済によってブラックリスト入りする
代位弁済は保証会社による立替払い

カードローンの返済ができなくなった際に、保証会社が債務者に代わって借金を立替払いすること。
カードローンは無担保・無保証で利用可能
通常、金融機関が消費者にローンを提供する際、債務者が支払い事故を起こし「貸し倒れ」が発生した場合に備えて、保証人を立てることを求めます。
カードローン返済の延滞・遅延・滞納の違いや対処方法を徹底比較!
一方カードローンは、他のローンと異なる性質を持ちます。
カードローンは誰でも気軽に利用できるように、原則として保証人を用意しなくても良い契約になっています。
消費者金融カードローンや信販系カードローンは無担保・無保証で利用することができます。
銀行系カードローンは保証会社がついている

消費者金融カードローンと信販系カードローンは無担保・無保証で利用できるのに対し、「銀行系カードローン」には保証会社の保証が付いています。
そのため、債務者が支払いを長期間延滞した際に、保証会社が借金を立替払いし、代位弁済を行うことになります。
銀行は、保証会社に対して一定額の保証料を支払うことで、債務者が返済事故を起こし貸し倒れになるリスクを無くすことができます。
代位弁済の発生は「3ヶ月以上」の滞納後
カードローンの返済を延滞したまま「3ヶ月以上」経過すると、代位弁済が発生します。
代位弁済が発生した場合、保証会社から「代位弁済通知書」が郵送されてきます。

カードローンの返済を61日以上滞納すると、カードの利用が突然停止し、カードローンが強制解約される可能性があります。
カードローンの強制解約については「カードローンの強制解約とは?原因と解決方法を解説!」で詳しく解説しています。
銀行カードローンの保証会社は消費者金融?


貸金業法と出資法改善前に消費者金融等で利用されていた、「利息制限法」の上限金利20%は超えているが、「出資法」で定められている上限金利29.2%には満たない金利のこと。
かつてはグレーゾーン金利と呼ばれる20%~29%という高金利を利用して貸金業を営んでいた消費者金融でしたが、貸金業法と出資法の改正によってグレーゾーン金利が撤廃されると、経営難に陥りました。
各消費者金融は、倒産を免れるために銀行の傘下に入ったのです。
消費者金融が傘下に入るメリット
消費者金融がCICやJICCに登録している点
債務不履行の場合に代位弁済してくれる点
消費者金融がCICやJICCに登録している点
消費者金融が銀行の傘下に加わることのメリットとして、両者が加盟している信用情報機関の違いが挙げれらます。

カードローンやクレジットカード等の「支払い状況」や「申込状況」といった信用情報が登録・保管されている機関のこと。現在日本には、「CIC」「JICC」「KSC」という3つの個人信用情報機関が存在している。
銀行が加盟する信用情報機関は「KSC(全国銀行協会)」の一つだけになります。一方で、消費者金融が加盟する信用情報機関は、通常「CIC」や「JICC」です。
つまり、消費者金融を保証会社とし、融資の審査をすべて消費者金融に任せることで、KSCからの情報の他に、CICとJICCからも信用情報を獲得できるようになり、より厳正な審査が可能になるのです。
各信用情報機関の違いについては、 「CIC・JICC・全銀協(全国銀行協会)の違いとは?カードローン審査における役割を徹底解説!」の記事をチェックしてみてください。
債務不履行の場合に代位弁済してくれる点
消費者金融を保証会社とし、保証業務のすべてを任せることによって、債権が回収不能となるリスクを背負わなくてもよくなる点も、銀行としては大きなメリットです。
審査から保証までを保証会社がすべて行ってくれるため、銀行がカードローンを提供する際のデメリットを、非常に小さくすることが可能になるのです。
大手銀行カードローンの保証会社
ここで、大手銀行カードローンの保証会社をいくつか紹介します。

「三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)」アコム
「りそな銀行カードローン(プレミアムローン)」オリックスクレジット
アコムやプロミスといった消費者金融が、銀行カードローンの保証会社として、融資の審査から保証までを請け負っています。
銀行系カードローンの保証会社一覧がご覧になりたい方はこちら保証会社一覧
保証会社が消費者金融の時、代位弁済はどうなる?

保証会社への返済も滞納すると、数カ月から1年で債権回収会社に債権を売られる。
代位弁済が行われると、求償権が保証会社に移行します。したがって、銀行に代わって保証会社が、債務者に対して取り立てを行います。

返済事故により債務不履行となった債務者に代わって借金を代弁した第三者が、債務者に対して肩代わりした分の債務の返済を要求できる権利のこと。
銀行系カードローンの保証会社となっている消費者金融ですが、その消費者金融には保証会社がついていません。そのため、債務者が支払いを無視し続けると、保証会社は「不良債権」を抱えることになってしまいます。
保証会社である消費者金融は、債権の回収が見込めないと判断すると、通常数カ月から1年で債権回収会社に債権を売ります。

弁護士法の特例として、債権の回収業を行う株式会社のこと。
「サービサー」とも呼ばれる

代位弁済されても借金はなくならない?
代位弁済は、あくまでも保証会社がカードローン提供会社に立替払いしているだけなので、債務者の借金が消えたわけではありません。
代位弁済が行われると、保証会社は求償権を得るので、債務者に対し立て替えた分の債務を返済するように取り立てを行うことができます。
代位弁済によってブラックリスト入りする
代位弁済は、事故情報として信用情報機関に登録され「ブラックリスト入り」することになります。

信用情報機関に支払い事故等の情報が登録されている状態のことを「ブラックリスト」と呼びます。
ブラックリストに入っている状態は、信用が低く、「返済能力のない人」と判断されるため、新規にローンを申し込むことができません。

カードローンのブラックリストとは?原因と対処方法を徹底解説!
代位弁済の通知とは?
代位弁済が発生すると、債務者のもとに「代位弁済通知書」が送付されます。




代位弁済通知書には、上記のような内容が記載されています。
代位弁済に対する返済は、基本的に一括返済が要求されます。
代位弁済の支払いも滞納し続けると、裁判に発展する可能性があることも記載されています。
代位弁済が実行された時の対処
代位弁済が発生し、送付されてきた代位弁済通知書を見て、「一括返済なんてできない」と返済を諦めてしまう方がいます。
しかし、代位弁済支払いの無視は、裁判や差し押さえが起きる可能性があるのでやめておきましょう。
一括返済が厳しいと感じたら、まずは保証会社に連絡をしてみましょう。

代位弁済の通知を無視したらどうなる?
ここからは代位弁済通知を受け取ったにもかかわらず、代位弁済の返済を無視し続けた場合に起きることを解説していきます。
債権が債権回収会社に売却される

代位弁済の通知を無視し続けると、数カ月から1年の間に、債権が保証会社から「債権回収会社」に売却される。
債権回収会社(サービサー)は、借金の回収を専門としており、債権者に代わって債権回収を行います。
代位弁済の通知を無視し続けられると、保証会社にとって債権回収は非常に困難になります。
保証会社である消費者金融は、借金回収が本業ではないので、債権回収会社に依頼することで、手間を省き本業に集中することができます。
また、回収できない債権は消費者金融にとって「不良債権」となります。
債権回収会社を利用することで、「不良債権」を早く処分することができる点も、サービサーを利用するメリットと言えます。
債権回収会社は保証会社とどう違う?
「返済が困難な人」に対して借金を回収することが専門
裁判所への提起が可能
法的手段等の行使が可能
「返済が困難な人」に対して借金を回収することが専門
債権回収会社は、その名の通り「不良債権を回収すること」を専門としています。
銀行カードローンの保証会社は「消費者金融」で専門は貸金業となります。
債権回収会社は、「債権回収業に関する特別措置法」という法律の下、法務大臣による許可を得て債権回収を行っています。
特別措置法の認定基準を満たしていないにも関わらず、債権回収業を行うとサービサー法違反となります。
そのため、債権回収会社はしっかり法律に則って債権回収をします。
裁判所への提起・法的手段の行使

債権回収会社の取り立ての流れは、はじめは一般的な「督促状」や電話などによって、借金の返済を求めてきます。この段階で支払いを行えば問題ありませんが、支払いせずに無視していると、「内容証明郵便」が送られてきます。
ここで送付されてくる内容証明郵便には、「指定日までに支払いが行われなければ法的手続きに入る」という内容が書かれています。
さらにこの内容証明郵便での返済催促も無視すると、債権回収会社は法的手続きを行使することができます。
支払い督促
請求訴訟
強制執行
支払い督促

支払い督促とは、回収できていない債権を回収することを目的に、裁判所を仲介して債務者に対し督促の通知をする手続きのこと。
支払い督促が届くということは、債権回収会社が裁判を起こしたことを意味しています。
しかし、支払い督促が届いたからといって、すぐに個人財産が差し押さえされたりすることは無いので安心しましょう。
支払い督促は法律の下で、どのように債務を返済していくかを話し合うために、裁判所から送られてくるものと考えることができます。
請求訴訟
2週間が経過しても、債務者が異議申立てをせずに、督促そのものを無視し続けた場合、いよいよ「強制執行」を見据えた訴訟が提起されます。
請求訴訟が行われると、裁判所で争うことになり、訴訟に負けた場合は、強制執行が実行されることになります。
強制執行

債務者が返済事故を起こしたことで債務が回収不可能となった場合に、裁判所を利用し、法的手続きによって、強制的にその債務者の財産を回収・換金するための制度のこと。
強制執行は、いわゆる「差し押さえ」のことです。強制執行されると、以下のようなことが起こります。





時効で踏み倒すことは可能?
借金の時効とは?

借金の返済を請求する権利を一定期間行使せずにいると、その権利が利用できなくなる。これを借金の「消滅時効」と呼ぶ。
借金には「時効」制度があります。これは長年にわたって権利を主張しなかった場合に、その権利を保護する必要がないという考えに基づくものです。
債権者は、債務者に対して「借金の返済を求める権利」を持っていますが、この権利を一定期間行使せずにいると「時効」となってしまいます。債務者が時効を援用することで、債権者はそれ以降、借金の取り立てができなくなります。
借金の時効が成立していることを、債権者に対し主張すること。
借金の時効が成立する期間は?





借金の時効が成立する期間は、「5年」と「10年」の二つに分かれます。
債権者が「消費者金融」や「銀行」のような法人の場合、起算点から5年が経過すると借金が消滅時効となり、債権者は借金の返済を請求する権利を失います。
一方で、債権者が法人以外の個人である場合、起算点から10年が経過すると借金が時効となります。

「信用金庫」及び「住宅金融支援機構」は法人ではないため、借金の時効となる期間は10年となる。

財産・給与の差し押さえから長期間逃げるのは難しい

「差し押さえになる財産や預貯金がどこにあるかわからなければ、差し押さえされることはない」という考えのもと、強制執行から長期間逃げきることで、借金の時効を待とうと考える方がいます。
しかし、強制執行から逃げ切ることは不可能に近いです。
財産開示手続き
債権者は裁判所を通して、債務者が隠し持っている財産を見つけるために「財産開示手続き」を行使します。
財産開示手続きが行われると、債務者は裁判所に呼び出され、財産目録を提出したり、財産がどこにあるのかを裁判官に説明したりしなければなりません。
この手続きを拒否したり、虚偽の報告をした場合は、30万円の過料が課せられます。
強制執行の妨害は犯罪
強制執行を妨害する行為は、「強制執行行為妨害等罪」「強制執行関係売却妨害罪」などの罪に問われます。
どうしても返済できないときの対処方法

強制執行を受ける前に、「任意整理」や「個人再生」、「自己破産」といった債務整理の法的手続きを受けることが重要!
代位弁済が行われたにもかかわらず、通知を無視して返済しないままでいると、いずれは「強制執行」が行われ、自分の給与や財産を失うことになります。
代位弁済通知が送付された場合、まずは保証会社に連絡し「分割で返済」してもらえるように相談してみましょう。
しかし、分割払いになっても返済できない状況に陥ってしまうと、つい「時効までなんとか逃げ切ろう」などと考えてしまいますが、それは非常に難しいことです。
強制執行になる前に、債務整理という法的手続きを検討するべきです。

過払い金請求・任意整理・個人再生・自己破産という4つの手続きの総称。弁護士に債務整理の手続きを依頼することで、その後の借金支払いや取り立てを軽減することができる。
債務整理を行うことで、借金の負担を軽減させることができます。
任意整理と個人再生は借金の減額が可能となり、自己破産手続きを行うと借金そのものが免除されます。
個人再生と自己破産は返済が困難なことを裁判所に認めてもらう必要があります。
一方、今回紹介する任意整理は裁判所を通すことなく借金の負担を減らすことが可能です。
任意整理で借金の負担を軽減させよう

弁護士や司法書士が代理人となって、借金の減額や支払い方法の変更などについて債権者と交渉することで、債務者の借金の負担を減らすことができる手続のこと。
任意整理をするとどうなる?
返済中の金利支払いが免除される
督促状による通知が来なくなる
返済中の金利支払いが免除される
任意整理の手続きを行うと、取引開始時にさかのぼり、金利を利息制限法の上限金利に引き下げることで返済額を減額できます。
さらに金利をカットし、元本のみを3年程かけて分割返済する内容で債権者側と和解できるよう交渉します。
その後はこの和解条件に従って、分割返済をして借金の完済を目指します。
督促状による通知が来なくなる
弁護士に依頼して任意整理を行うことで、それ以降債権者からの督促がなくなります。
任意整理で弁護士が介入した場合、債権者は弁護士を通してからでないと債務者に連絡できなくなるためです。
任意整理を行うことで、借金のある生活から解放され、精神的にも安定した状態で日常生活を送ることが可能になるのです。
任意整理をするとブラックリストに入る

ここまで、代位弁済について詳しく解説してきました。
代位弁済通知が届いた場合は、焦らず適切な処理を行うことで、強制執行などの最悪の事態にはなりません。
正しい知識を身に付けて、対処できるようにしておきましょう。
カードローンの返済遅延・延滞に関する解決方法をFPが徹底解説!