クレジットカードの支払い遅れ(延滞・滞納)を繰り返したり、長期間放置していると強制解約となってしまうことがあります。強制解約はいつされるのか?事前通知はあるのか?復活・再契約は可能なのか?信用情報への影響について詳しく解説していきます。
この記事の目次
そもそも強制解約とはどのようなこと?
強制解約とは、言葉とおりカードが強制的に解約になることです。
突然カードが使えなくなり「会員資格取消しのお知らせ」というような強制解約の通知が届きます。
長期にわたる延滞をするなど、カードの利用上で大きな問題があると、一方的に契約を解除されることがあります。使っていたカードが使えなくなるのは困りますね。
「他のカードに影響したらどうしよう…」
この記事では、上記のような疑問にも答えていきます。
クレジットカードが強制解約(退会)になる原因とは
クレジットカード利用者が強制解約になる原因には、様々なものがあります。
それぞれの項目について簡単に説明をしていきます。
申し込み内容に虚偽があった場合
クレジットカード会社は、契約手続きが終わった後でも、定期的に個人信用情報を確認し、登録情報を確認しています。途上与信と呼ばれるものです。
申込時に申告した内容と事実に大きな違いがあった場合、虚偽と判断されて強制解約をされるケースがあります。多いパターンは
「収入の金額を多めに書いた」
「他社の借入件数を少なく書いた」
というような、審査に関係する内容を偽ったものです。
他にも、住所が違っているなどの理由で解約になることもあります。変更があった際は届出を行いましょう。
換金目的の商品を購入した場合
換金目的でカードを使うことは、規約で禁止されています。
例えば、街で「ショッピング枠を現金化」という広告を見かけたことがある方は多いと思います。カードで家電などを購入し、買い取ってもらうことでお金を受け取る方法です。
キャッシング枠がない方にとっては、ショッピング枠で融資を受けられるサービスは魅力的かもしれません。しかし、このような使い方は規約違反です。
強制解約のリスクが非常に高いため、絶対に手を出さないようにしましょう。
不審・不適切な利用があった場合
カードの盗難、譲渡や、不正利用が疑われる利用があった場合も強制解約となります。
・東京に住んでいる方が九州で家電を大量購入した
・海外で突然多額の利用があった
なお、名義者本人以外のカード使用も規約で禁止されています。第三者にカードを貸してはいけません。
発行後も支払口座を設定しない場合(カード会社による)
カードを発行すると支払い用の口座を設定しますよね。しかし、口座を設定しないままでいると、カード利用の意思がないとみなされて強制解約になる場合があります。
債務の履行を怠った場合
ここで言う債務の履行は、簡単に言うと返済をしないことです。大きくわけて2種類あります。
クレジットカードの支払い遅れ
支払いがされないことが何日間も続いたり、悪質な延滞を何度も繰り返したりしていると、それが原因で強制解約になります。
他社の金融商品での延滞・滞納
他社のクレジットカードやカードローンの延滞、スマホや携帯などの代金支払い遅れなどがあると、個人信用情報機関に異動情報が登録されます。
途上与信や増額審査で信用情報を確認した際にこの異動情報が発見されると、延滞の危険が高いとみなされて強制解約になります。
その他
上記以外にも、以下の理由で強制解約になります。
・会員が死亡した場合
・その他、規約違反があった場合
強制解約になる理由は様々ですが、一番多いのは「債務の履行を怠った場合」つまり支払いの遅れによる解約です。
この記事では、支払いの遅れによる解約をメインに解説をしていきます。
どれくらいの期間延滞・滞納すると強制解約(退会)になる?
数日延滞したからといってすぐに退会になるわけではなく、およそ2~3ヶ月ほど後、長期延滞のあとに強制解約となる場合が多いです。
では、実際に延滞から強制解約までの流れを確認しましょう。
延滞から強制解約までの流れ
(引落日の翌日~20日後程度)
(引落日から2ヵ月前後)
強制解約のタイミングは会社によって異なりますが、本来の引落日より2ヶ月後前後に強制解約となる場合が多いです。
しかし延滞を何度も繰り返すなど、悪質だとみなされると短い期間で解約になるケースもあります。
日数よりも支払いの意思が重要!
「今はやむを得ず支払えない理由がある、だけど強制解約は嫌だ」
という方も多いと思います。強制解約を避けたいという方は、金融機関に相談をすることが非常に重要です。
期日に支払いが間に合わないと、一日に数回電話がかかってきたり、手紙が届いたりします。それをずっと無視しつづけていると、確実に強制解約になります。しかし、
・いつ支払えるか
を伝えれば、支払いを待ってもらえる場合があります。
カード会社にきちんと支払うという意志を伝えれば、すぐに強制解約をされてしまうという事態は防げます。
クレジットカードが強制解約(退会)される時に連絡や通知はある?
解約の通知はありますが、前もって予告などはありません。
「会員資格を取り消します」という連絡が入った時には既にカードは解約になっており、取消しはできません。
連絡方法は郵便が多い
強制解約については、郵便で連絡をする会社が多いです。電話で通知を行う会社もあります。
郵便で届く場合、実際に利用停止になってから通知を受け取るまでには日数差が生じます。
そのため、突然カードが使えなくなり、後で手紙で強制解約になったことに気付くという方も多いです。
解約の際はカードの返却を要求している会社も多く、
・買い物の時お店でカードを使おうとしたら、店員にカードを回収された
という実例も存在します。
強制解約(退会)されたその後の残金支払はどうなる?
カードを強制解約になっても、残金は支払わなくてはいけません。
退会をすると会員ページにログインができなくなり、限度額は0円になりますが、支払いの義務は残ります。
強制解約になった際の支払いについては、一括で支払うと規約で定めているカード会社が多いです。
第38条 期限の利益の喪失
1.本会員は、次のいずれかに該当する場合、(略)当社に対する一切の債務について期限の利益を喪失し、残債務全額を直ちに支払うものとします。
(1)約定支払額を約定支払日に支払わなかったとき。
~中略~
(7)第39条第4項(1)、(2)または(4)のいずれかの事由に基づき会員資格を喪失したとき。
ここで述べられている期限の利益の損失とは、分割で返済ができるという権利のようなものです。これを失うことで、分割での支払いができなくなるわけですね。
とはいえ、今まで分割で支払っていたものを一括で支払うのは誰でも難しいですよね。
強制解約になった場合でも、今まで通り分割やリボ払いでの支払いを続けることはできるのでしょうか?
リボ払いや分割払いは継続できる?
解約になったからといって、即座に一括支払を請求されるとは限りません。
解約直後は、リボ払いや分割払いなど、今までの支払い方法での対応となる会社が多いです。
しかし、長い間支払いに応じていない場合は、本当に一括請求をされる場合があります。
一括請求通知は2回ある
一括請求通知には以下の2種類があります。
・裁判所を通した請求
強制解約になるとまずはカード会社(債権回収会社)から一括請求が届きます。金利に加え、遅延損害金も加えた金額を請求されます。
それを無視していると、裁判所に申し立てがされ、裁判所から一括請求の訴状が届きます。
一括請求から支払い決定までの流れ
一括請求がされてから、実際に支払い方法が決定するまでの流れを紹介します。
(ここで無視をすると財産差し押さえへ)
債権回収会社からの通知を無視していると、裁判所から以下のような支払督促が届きます。
(略)
債務者は、請求の趣旨記載の金額を債権者に支払え。
債務者がこの支払督促送達の日から2週間以内に督促異議を申し立てないときは、債権者の申立てによって仮執行の宣言をする。
これも無視をすると、一括での支払いに了承したとみなされ、最悪の場合給与や財産の差押などが行われます。
そうすると家族はもちろん職場にも借金がばれ、生活が破綻します。2週間以内に「異議申立書」を返送し、裁判出廷手続きをして金融機関と返済計画を話し合いましょう。
支払い方法は引き落し?振込?
以前の支払い方法が適用される事が多いですが、裁判後の支払い方法については会社によって異なります。分割での支払いになった場合は引き落としが多いです。
強制解約(退会)を解除して復活・再契約する方法はある?
1回強制解約になると、未払い金を支払っても復活や再契約、更新はできません。
信用情報機関の記録は年月が経てば消えますが、社内の情報はそれよりも長く保管されます。
顧客情報の保存期間は会社によって異なりますが、長ければ半永久的に情報が残ります。強制解約になったという情報がある限り、再契約は原則できません。
会社によっては再契約ができた例もある
しかし、絶対にカードの再発行ができない、とは言い切れません。一昔前は、強制解約は二度と再入会ができないとされていましたが、今はカード会社も顧客不足です。
審査の状況や経過年数によっては、もう一度カードを使えるようになる可能性もあります。
再契約のためにはクレヒスを育てることが重要
審査の際は個人信用情報機関の情報を参照し、他社との取引状況を確認します。
そこで「他の金融会社と良好な取引をしている」ということが分かれば、再契約ができるかもしれません。
つまり、他の会社と新規契約し、取引実績、クレヒス(クレジットヒストリー)を育てることが再契約への一歩となるのです。
強制解約(退会)されるとどうなる?信用情報への影響とは
強制解約(退会)になると、そのカードの再契約ができなくなるだけでなく、個人信用情報機関の情報にも影響を与えます。
個人信用情報に異動情報が登録され、俗に言うブラックの状態になります。
など、日常生活において不便なことが起こります。
現在契約している他のカードが使えなくなっていく
クレジット会社や消費者金融などは、個人信用情報機関の情報を定期的に確認しています。
つまり、強制解約されてすぐに他のカードも停止になるわけではありません。途上与信でブラック情報を確認した会社から順次、利用停止になっていきます。
住宅ローンや自動車などのローンに通らなくなる
住宅ローンや自動車ローンを組むとき、携帯電話の分割購入時にも信用情報を確認されます。
ブラックの人は審査には通りません。自分名義でローンを組んだり融資を受けたりができなくなります。
年数が経てば個人信用情報機関の情報は消える
個人信用情報の異動情報は永遠にそのままではなく、年数が経てば消えるようになっています。
強制解約の記録が残る年数
シー・アイ・シー(CIC) | 5年 |
---|---|
全国銀行個人信用情報センター | 5年 |
日本信用情報機構(JICC) | 1年 |
国内に3つある信用情報のうち、クレジットカード会社が登録しているのはCIC、JICCが多いです。
しかしこれら3つは「CRIN」というネットワークで一部の情報を共有しているため、どの金融機関からでもブラック情報は分かります。
債務整理、長期延滞も強制解約と同様、情報投稿日時から最大で5年、自己破産は最大で10年記録されます。
ですので、その間はローンは一切組めないということになります。どうしてもローンを組みたい場合は家族等に契約をしてもらう必要があります。
まとめ
この項目では、強制解約をされた際の対処法や、復活の見込みはあるのか等についてまとめました。
最後に、重要なポイントをまとめましょう。
- 強制解約をされるとカードは復活しない
- 強制解約後にすぐに一括請求はされないが、放置していると請求される恐れがある
- 強制解約をすると異動情報が信用情報に登録され、クレジットカードやローンがしばらくの間使えなくなる
強制解約は人生に大きな影響を与えることが分かりますね。
強制解約にならないためには、返済ができないときには金融機関に相談をすることが重要です。最悪の事態になる前に早めに対策をしましょう。
まずは抑えておくべきクレジットカード支払い遅れ関連する記事を、こちらのクレジットカードの支払い遅れでまとめてあるのでぜひご参照ください。

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